認知症を治せる日はくるのか。医学と製薬会社の戦い
前回の記事で認知症に関する事を書いていきました。
今回は昔読んでみた本をふと思い出しそれと共に、もう少し視点を変えて書いてみます。
認知症は治せる?医学は何処まで対応していけるのか
たまたま書店で見つけた本ですが、
「認知症は治せる」とインパクトのあるタイトルが目に引きました。
ただこの手の本というのは新聞の広告欄でもあるようなタイトルであり、まぁ話題性を打ち出した物だろう位に思っていた訳です。
私の母型の祖父母も長生きをしたのですが、やはり年齢と共に記憶があやしくなり寝たきりの様な時間が多くなっていき、当時まだ若い(?)私の心に残っていたのです。
数年前、実際に本を手に取り読んでみたのですが、思っていたよりもずっと理論的な内容であったのでした。
医学の進歩?医薬の進歩?
認知症の方のお薬には「アリセプト」と呼ばれる代表的なお薬が処方されます。
認知症に対する初の薬であるこの「アリセプト」は杉本八郎氏が自身の母親が認知症になり、この薬の開発に至ったそうです。
この薬により認知機能の一時的な改善や、認知症の進行を遅らせる事が出来る物と言われています。
現在でも「アリセプト」は多くの方に処方されており、当然多くの認知症患者やその家族の助けにもなっているのですが、副作用として興奮や落ち着きが無くなる事があると著者が呼びかけています。
つまり服用される方によっては
副作用が出て興奮する
↓
認知症が悪化したと思われ薬が増える
↓
一層強く副作用が出る
という悪循環に陥る可能性もある訳ですね。
本の中では苦労の実態を理解出来る医師に相談する事の重要性を説かれています。
この本が全てではありませんが、医学や医薬の進歩も人との関わりから始まるのかもしれませんね。
認知症と製薬会社「エーザイ」
ここまで書いていきましたが、「アリセプト」が現在も認知症の方や関わる家族にとって重要な薬であるのは間違いないのです。
その「アリセプト」を作っているのが日本の製薬会社「エーザイ」です。
東証一部上場【4523】で国内5位の製薬会社とされています。
CMでも「ヒューマン・ヘルスケア」というスローガンを耳にすることがあるのではないでしょうか。
エーザイと言うと肌荒れ等や口内炎の「チョコラ」(チョコレートとコーラのように売れるようにでチョコラという名前)を始め、乗り物酔いに効く「トラベルミン」等の市販薬も有名です。
認知症の治療薬開発はただでさえ難しい新薬の開発において特に難関なようで、製薬大手である米「ファイザー」も開発を中止したとニュースが過去にありました。
「エーザイ」自身も「アリセプト」の特許切れや、認知症薬開発に上手くいかず株価の下落にあう場面もありました。
医療費の抑制もあり製薬会社への投資は難しいとされているようですが、それでもエーザイには少なくなってきている認知症の治療薬を開発する会社として期待したいですね。
しかし薬の開発と言うのは私の様な一般人には分からない世界です。
昨日のWBSではその「エーザイ」がビル・ゲイツ財団の支援を受けて、中止されていた薬の中から、「マイセトーマ」と呼ばれる今まで治療が難しかった物への効果が期待できると開発を進めているとの事でした。
またエーザイとは別の話になりますが、食中毒で有名なボツリヌス菌もボツリヌス療法で筋肉を柔らかくし脳卒中後のリハビリへ効果が期待できる方法もあるそうです。
iPSを利用した治療等も進められていますが、認知症に限らず人間の英知が現在苦しんでいる人たちに希望が持てるようにと願うばかりです。
また、今まさに認知症に関わる当事者の方々には、かけるにふさわしい言葉が見当たりませんが、ご自身の身体も労わって頂ければと思います。